どうしてクリエイティブスクール NOVUS(ノウス)を始めたのか。(どうしてクリエイティブ教育が少ないのか)

こんばんは。カラス代表の牧野です。今日は、2019年の11月からスタートしたクリエイティブスクール「NOVUS(ノウス)」について書いてみようと思います。ちょうど3ヶ月が経過し、講義の回数は12回となりました。いろいろな学びがあった(どちらかといえば反省が多いです)。それらについて、一度整理してみようと思った次第です。

そもそも、なぜ始めようと思ったのか。

そもそも、なぜこの忙しい中、クリエイティブスクールなどというものをはじめようと思ったのか。実は、クリエイティブスクール、もしくはデザインスクールをやることは、5年くらい前から描いていた夢の一つでした。

エードットやカラスという会社も伸びてきたし、僕個人のSNSもおかげさまで見てくれる人が増えたこともあり、ある日「今こそ動き出すべきときかもしれない」と思い立ち、「Campfireのコミュニティでやればスタートできるかもしれない」と思いつき、すぐに開設しました。構想が長かった割に思い立ってからは随分早かったです(だいたいそういうものだと思うのですが)。

「どうして日本にはクリエティブ教育が少ないのか」とずっと感じていました。僕はもともと千葉県の公立中学、高校を出て、早稲田大学理工学部、東京大学大学院(情報系)というフルコースで日本教育を体験してきました。日本の中ではそれなりの学校を歩んできたとは思うのですが、そこに「アイデアや企画やデザインといったクリエイティブに関わる教育」はほとんどなかったように思います。

2009年に博報堂に入社し、初任でクリエイティブ職に配属されました。24歳にして、はじめて「アイデアとは何か」「デザインとは何か」ということに向き合うこととなり、必死に勉強しました。それらを理解できるようになったのは、3年間ほど死ぬ思いで学び働いた後だったように思います。

同時に「アイデア・企画・デザイン・コピーワーク」といった仕事の面白さと大切さを身を以て痛感しました。あらゆる新しいものを生みだす場面において、それらは絶対に必要になるファクターです。新しいプロダクト、新しいサービス、そして社会に溢れる課題を解決するためのあらゆる瞬間に、それらは不可欠なものでした。

それにも関わらず、日本の教育では、それらを学ぶ機会はあまりに少ないと言えます。義務教育はもちろん、早稲田大学にも「デザイン」というものをありませんでした。日本の教育は「習ったことを徹底的にやる」「答えがある問題の正解を導く」ことはものすごく長けていますが、「答えのない問題にアイデアを生み出す」「もっとも正しいデザインを生み出す」ということは軽視されていると思います。

同世代の周りの話を聞いていても、「仕事で企画を求められる」「デザインの良し悪しを判断しなくちゃいけない」「アイデアを出せと言われる」といったように、社会人になって急にそれらを求められる環境に置かれる人が大勢いました。少しでも多く「クリエイティブに関する教育」を増やすことは、これからの日本社会においてものすごく大切なことだと思うようになりました。それがNOVUSをはじめようと思った動機です。

NOVUS(ノウス)とは何か。

ノウスは「アイデアと企画の学校」と銘打っていますが、今のところは課題もなく、教科書もありません。毎週、僕が尊敬してるクリエイターの方々をお招きし、2時間がっつりトークをする、というものです。スタートしてから3ヶ月が経過し、全部で12回の講義を行いましたが、どれも本当にすばらしかったし、個人的にもとても刺激になりました。これまでのゲストはこちら↓

僕が言うのもなんですが、最高の講師の方々だと改めて思います。毎回、90分くらいでいいかなと思うのですが、がっつり2時間を話してしまいます。聞いている人たちも大変だと思うのですが、いつもすごい熱量を感じます。12回、全部通ってくれている人もいます。

現在、会場のキャパシティもあり、リアルに受講できるコースで105名とし、リアルに参加できない方がWEB会員という形式をとらせてもらっています。思っていた以上に反響があり、常時700名ほど方が会員になってくれています。すべての講義はライブ配信をしており、Facebookコミュニティでストックもされているため、いつでも観ることができます。

3ヶ月やってみて。

3ヶ月やってみて、毎週開催する、というのは、思った通りに大変で、思った以上に楽しくもありました。そして僕自身が一番学びになっているかもしれません。

まず反省としては、僕があまりにも本職(クリエイティブワーク)が忙しすぎてて、運営に集中できていない、という根本的な問題があります。改善しなければならないことが多すぎます。

例えば、動画配信の仕組みを整えたい。WEB会員の方がもっと快適に閲覧できるような配信の仕組みを考えなければいけないと思いつつ、まだ動けていません。もっと見やすく、聴きやすくなるはずです。頑張ります。

そもそもノウスは徹底的に「インプット」にこだわる仕様にしています。なぜなら、結局のところクリエイティブワークというのは、生き方そのもので、姿勢や思想というところが大きく左右するものだと考えているからです。それらの人生を歩んでいる人たちの生き方や思想に触れて感じることが一番大事であるという発想からでした。

しかし12回やってみて思うのは「みんなあまりにハードな思想であった」ということです。なんというか、みんなすごすぎるのです。ホットリンク飯高さん、チョコレイト栗林、CINRA代表の杉浦さん、millueの塩谷さん、arcaの辻愛沙子、電通クリエイターの明円さん、ミスチの田村さん、カラスのデザイナー柴田賢蔵、スーパー編集者のモリジュンヤさん、企画作家の氏くん、そして注文をまちがえる料理店の小国さん。。。。ほんとうに最高の人たちでしたが、もしかしたら聞いている人たちが「こんなすごい人たちがこんなに頑張ってるんだ」と、気圧されてしまうのではないか、という内容だったように思います。

ただ、正直、ぼくが今できるのはそこまでかもしれないとも思っています。手取り足取り、クリエイティブのノウハウを教えていくには、あまりにも時間がかかってしまいます。

ただ、NOVUSの大きな役割を実感しました。それは「刺激を与えつづけること」です。いちどの講義でやる気をもらっても、そのやる気を維持することは簡単なことじゃありません。しかし、それが毎週あれば、そのやる気や刺激を持ち続けることができるのではないかと思ったりもしています。なので、NOVUSの大枠の方針は変わりません。ひたすら最高のクリエイターを招聘しつづけ、刺激を与え続ける、それがひとまずNOVUSの最初の形です。

厳しいことを言いますが、あとは自分でやるしかないのです。当たり前ですが、クリエイターとは「ひとにやれ」と言われる仕事ではなく、極めて自発的で主体的で目的的に行われる行為です。外部からの刺激で、それが活性化され、生み出されることはあるかもしれません。しかし、最後は自分で構想し、行動するしかありません。

NOVUSが、そう触媒のような学校になれるよう、僕個人としては全力を尽くしていきたいと、3ヶ月が立って改めて思っています。今はまだまだですが、いつか日本のクリエイティブ教育の一歩だったと思われるような、そういう場所にしていきたいと思います。

二月の講師もとても素敵な人たちです。興味のある方はぜひご参加ください!それでは!
「NOVUS」CREATIVE SCHOOL ~ 企画・デザイン・アイデアの学校