SNSで話題の「拝啓、野原みさえ様」その裏に秘めたOisixの想いとは。


風間「井上さん、初めまして。この5月からエードットで広報をしてます風間です。井上さんはOisixで広報、マーケティングのお仕事をされていらっしゃると伺ってますので、広報の大先輩ですね…。今年の母の日の企画も、エードットと一緒にお仕事させていただきましたので、お会いできるのをすごく楽しみにしていました!」

井上さん(以下井上)「あれ、僕以上に緊張してないですか?(笑)」

風間「…実はインタビューも初めてなので緊張してます(笑)今日はOisixというブランドや井上さん自身のお考え、SNSでも話題になっていた母の日の『みさえさん』の企画など、色々なお話を伺えたらと思ってますので、どうぞよろしくお願いいたします!」

井上「よろしくお願いします〜」

井上 政人(いのうえ まさと)
オイシックス・ラ・大地株式会社
総合マーケティング本部 本部長/ソーシャルマーケティング室 室長

大阪府出身。高校卒業後、音楽活動と並行して植木職人、木こり、デザイナー、Eコマースディレクターとして活躍。その後、Oisix(オイシックス)に入社。OisixではEC事業本部PR室、統合マーケティング部ソーシャルマーケティング室長を経て現職、統合マーケティング本部長。KitOisixプレミアムモニター、#やさいドレス、渡部建の明太マヨ、OisixテレビCM「献立予報」、東京ハーヴェスト、100万人のキャンドルナイトなど「Oisix」「らでぃっしゅぼーや」「大地を守る会」の3ブランドのマーケティング活動に携わっている。

日々変化する「家族」の課題を解決したい。何事もお客様目線で。

 

風間「まず最初に、Oisixというブランドが生まれた経緯について教えていただけますか?」

井上「Oisixが出来たのは2000年。今から19年前の話です。当時はオーガニックの野菜があまり流通していなかったので、無農薬や有機栽培で作られた所謂『子どもたちにも安心して食べさせられる野菜』を、もっと簡単に手に入れられる世の中にしたい。そのような想いからOisixは始まりました。

さらにそこから19年、世の中は大きく変化し、女性の社会進出も当たり前の時代になりました。仕事に家事に子育てに、そんな忙しい女性をどうにかサポートできないか?という想いで、今度は 『Kit Oisix(キットオイシックス)』というプロダクトを開発したんです。」

 

風間「そうすると、Oisixが見つめているのは、働く女性やそのお子さん、という感じですか?」

井上「そうですね。まあ、僕たちが見ているのは『家族』ですかね。やはり、実際に食材を買って料理をするのは女性の方が多いですが、その方達は、自分のためにというよりは家族のために、より美味しいものを、より安心して食べさせられるものを、という風に考えている。なので、Oisixが提供するのは 『家族』のためのサービスであり、プロダクトなんですよね。」

 

風間「なるほど、Oisixは日本の『家族』を見つめている、と。先程、この19年の間に世の中が大きく変化したと仰ってましたが、具体的にどのように変わってきたと感じられますか?」

井上「一番大きく変わったのはお客様の生活環境ですね。それに合わせて、僕たちが変わっていっている、という感覚です。当社は『これからの食卓、これからの畑』という理念を掲げていて、世の中の社会課題をビジネスの手法で解決するっていうのが、会社としての姿勢なんです。例えば子育てをしながら働く女性が増えたりだとか、家族の形やライフスタイルの変化に伴って、お客さまがそれぞれ抱える課題も少しずつ変化していく。だから僕たちはその課題を解決するために、Kit Oisixというプロダクトを作ったり、アプリを開発したりと、Oisixが提供できるサービスを変化させていっている、という感じです。」

 

風間「働く女性にとってはKit Oisixという商品はとてもありがたいですよね。」

井上「そうですよね。Oisixでは、旬の野菜を買うコース、Kit Oisix中心のコース、あとは小さなお子様がいる方向けのコースと、定期宅配の中でもコースが選べるようになっているんです。Kit Oisixという商品が生まれる前までは、旬の野菜を届けるコースが一番人気でしたが、今ではKit Oisix中心で届けられるコースの会員数が一番多いんです。それって、今の日本社会をすごく反映しているなあって。

『料理を作る』と言っても、まずは献立を考え、お買い物に行き、調理して、出して、食べて、片付けて…、その一連のプロセスを『料理』と呼び、さらにそのプロセスを毎日、毎食しなくてはならない。でも、その料理のプロセスの中にある課題を解決することで、家族と過ごす時間が生まれたり、料理に対するストレスが軽減できたりする。だからこそKit Oisixという商品は、従来の野菜の定期宅配サービス以上の意味を持っていると思いますし、もっと多くの人にKit Oisixを利用してもらい、皆さんの抱える課題を解決して行きたいと思ってます。」

風間「現在のOisixは3つの会社が統合して『オイシックス・ラ・大地株式会社』という会社になったんですよね。」

井上「はい、そうです。でも、統合した3つの企業とも、企業理念などは基本的に同じだったので、統合に関しての違和感はありませんでしたね。」

風間「その中でも、Oisixはこうだ!みたいな特徴ってありますか?」

井上「Oisixは、特に『忙しい女性をサポートする』という気持ちが大きい。なので年齢や、ライフステージがそこにヒットする人たちに多く選ばれています。」

 

風間「なるほど。ではさらに他社と比較して、日本の食品宅配サービスについての現状や今後について、何かお考えはありますか?」

井上「他社と比較っていうのはあまりしてないですね。僕たちは『これからの食卓、これからの畑』という企業理念を掲げていて、まず第一にお客さまの課題を解決したい!っていう想いがずっとあるんです。なので、別にうちの会社やブランドが実現できなくても、誰かが実現してくれるのであれば、それがゴールじゃないですか。

うちは社長自らが、月に1回、お客さまのご自宅へ伺って、直接ヒアリングをするという文化があるんです。それってうちの会社の文化として、とてもいいなって思うんですよね。ご自宅に上がらせていただければ、お客さまの生活感というものをリアルに感じることができる。さらにご了承を頂ければ、冷蔵庫の中まで見せてもらいます。そうすると今度は、うちの商品をどのように使っていて、どの部分が使いにくくて、どういうものを欲しているか、と言った課題が見えてくる。新しい課題が見えたら、解決するために先頭を切って、僕たちが取り組んでいけば良い。何事もお客さま起点であること。それをうちの会社では一番重視していますね。」

風間「現場を知っているからこそ、お客さま目線で課題に取り組み続けることができるんですね!」

取引している農家さんの土を使って描かれた大きなウォールアート。日本中の農家さんから美味しい野菜を届けてもらっていることがわかる。

共感から行動へ。

風間「今年の母の日に、《クレヨンしんちゃんの『みさえさん』に対する感謝のメッセージを、グラフフィックと共に春日部駅に貼り出す》という企画をご一緒にさせていただきました。SNSで拡散されたこともあり、社会的に大きな反響があった企画だったと思いますが、井上さんの周りでも何か反応はありましたか?」

井上「そもそもこの企画は、『クレヨンしんちゃん』とコラボレーションするというより、しんちゃんのお母さん「みさえさん」の暮らしをOisixがサポートできるのでは?という思いから始まっているんです。今回、グラフィックでも使わせていただいた《みさえさんが3分間で家事や子育てを全てこなす》という動画が、Twitterで定期的にバズっているのを前から見ていて、とても気になっていたんですよね。この3分間の中に、Oisixが解決できる課題がたくさん詰まってるんじゃないかなって。

ちょうど僕の子どもが今2歳で、隣で働きながら子育てをしている奥さんを見ていると、これは大変だな…って思うんです。そういう事を日々感じる状況にいたので、あの動画がバズっているのを見た時、『これは世の中全体が共感してるんだ』って思ったんです。Twitterのリツイートとか、いいねとかって、結局は共感じゃないですか。」

 

風間「確かに。『バズる』って、そこに皆が『共感』してるんだって考えられますね。」

井上「そう、それでずっとクレヨンしんちゃんと一緒に、何かできないかなーって思ってたんです。そしたら、たまたまそのタイミングで牧野さん(カラス代表/エードット役員)に出会ったんですよ。牧野さんとの出会いっておかしくて、前々から僕が一方的に牧野さんのTwitterをフォローしてたんですけど、共感できる企画があったから別件でDMを送ったんです。そしたら、それとはまた別の案件で、近々牧野さんがうちに来て打ち合わせする用があるっていうから、じゃあそこで会いましょうよって。」

風間「いろんなものが重なったんですね!」

井上「そう、それで最終的に今回の企画に繋がったんです。」

井上「広告に載せるコピーも、世の中のお母さんにちゃんと共感してもらえる内容にしたかったので、うちで働く子育て中のママ社員にヒアリングを何回もして、修正を重ねて作って行ったんです。それで最後に、完成したポスターをローンチ前に見てもらったんですけど、一人のママ社員が、「これ見てちょっと泣いちゃいました」って言うんです。それが、いただいた様々なリアクションの中でも一番嬉しかった。一人の人がそこまで共感してくれたんだ、って。

ローンチ後も色々な反応があったんですけど、この広告を見てくれた人が『共感』だけにとどまらず、何かしらの『行動』を起こしてくれたことが、さらに良かったなと僕は思っていて、Oisixを使ってみよう!と最終的に思ってもらうことは当然嬉しいんですけど、その手前で、例えばお母さんの大変さを理解して労いの言葉を一つ掛けるだとか、何かしらのアクションを起こしてくれたと言うこと自体がすごく嬉しかった。ちゃんと僕たちのメッセージが届いてるんだ、って実感があります。その時は、こんなにも仕事してて楽しいことはないなーって思いましたね!」

風間「じゃあ、井上さんにとって、とても良い企画になったんですね。」

井上「そうですね、すごい良い企画になりました!」

「暮らし」を変える商品を作る

 

風間「今後Oisixで、新しくやってみたいことなどはありますか?」

井上「そうですね。Kit Oisixというプロダクトで、今後も困っている方々の課題を解決したいと思っているのですが、Kit Oisixって本当に面白くて、それを日常的に使っているお客さまから時々ラブレターが届いたりするんですよ。」

 

風間「ラブレター?」

井上「そう、ラブレター。例えば、『毎日献立を考えなくてはいけない』という課題を持ってる人って、ものすごい数いるんですよね。それを毎日しつつ、でも『献立がマンネリ化してきた』とか、『小さい子どもが食べてくれない』とか、『旦那が今日は遅くなるから晩御飯はいらない』とか…そういうストレスって、ものすごく沢山あるんです。でも、Kit Oisixを使ったことで、献立を考えなくて良くなったり、買い物に行く回数が減ったり、調理時間が短くなったりする。そのことでさらに、『気持ちが穏やかになって、家族に対しての対応が変わりました』とか、『家族の雰囲気が変わりました』とか、その人の『暮らし』自体が変わるということが起きるんです。それって、食べて美味しいとか、時短で便利、っていうただの食料品っていう枠を超えてるんですよね。

そうすると商品のレビューも、美味しい美味しくないの話じゃなくて、『この商品のおかげで、本当に暮らしが変わりました。ありがとうございます。大好きです!』っていう気持ちが、ラブレターとして届くんです。」

風間「素敵すぎますね…。」

井上「そうなんですよ。Kit Oisixという自分たちの商品で、暮らしや人生そのものを、少しでもポジティブな方向へ変えることができている、っていうのはめちゃくちゃ嬉しい。だから、今後もその様なサービスやプロダクトを作っていきたい!と思ってますね。」

風間「井上さん自身、奥さまとお子さまがいらっしゃると伺いましたが、今の日本社会を男性目線で見た時に、何か思われることはありますか?」

井上「そうですね、うちの奥さんも働いてますし、会社にもママ社員が沢山いるってこともありますけど、やっぱり働く女性が当たり前になってきてるなとは感じますね。女性を取り巻く環境や家族との関係も、ものすごく変わってきている。だから、そういった変化に対して自分たちは何ができるか?という事を常に考えていますね。

うちの会社って、育休産休を経て復職される方はほぼ100%に近いんです。でも聞いてみると、復職される方って1〜2年お休みされてるから、戻ってくるのに不安だったりするんですよ。だから僕たちは『復職式』っていうのをやるようにしていて、復帰するママ社員に復職証書を授与して「おかえりなさい!」と伝えます。その復職式に参加された方に聞くと、自分の居場所があると思える事が、すごく嬉しいって皆言うんですよね。

それでも実際、子育てしながら働くってめちゃくちゃ大変で、『女性も働くのが普通の時代です。でも家事や子育てはお母さんの仕事ですよね。』って、未だにそれが当たり前かのように唱えられる事がある。これだけ女性を取り巻く環境は変わっているのに、実際その中身はあまり変わっていない。だからそこはOisixというブランドが何かサポートしたり、チャレンジするべき領域かなと思うんですよね。」

 

風間「女性の働き方の変化に、まだ家事の仕方の変化が追いついてない。だからちゃんと追いつくように、Oisixがお手伝いをしなくちゃ、と言う事ですね。Oisixさんの努力によって、今後、家事に対する世の中の意識が、良い方向へ変化していくことを期待しています!」

価値を理解し、伝えるということ。

 

井上「僕のインタビュー記事を見て、他の企業さんも、御社と一緒にお仕事したくなりますかね(笑)是非そうなって欲しいんだけどな。」

風間「そんな風に思っていただいてたんですね…。ありがとうございます。社外の方にはもちろん見ていただきたいのですが、社内の人にも見てもらえるメディアにしたいと思ってるんですよね。あのチームのあの企画はこんな風にやっていたんだ、って事が見えると、より社員同士の理解も深まって、さらに良い会社になっていくと思うんですよね!なのでa.journalは、社外と社内の双方に向けたメディアを目指しているんです。」

 

井上「なるほど。それじゃあ最後に一つ、言わなきゃいけない事がありました。

今回エードットさんとは、初めて一緒にお仕事させていただいたのですが、牧野さんをはじめとする、皆さんのキャッチアップ力がすごく高かったなと思うんです。僕たちOisixの理念とか、こういう社会にしたいから、こういうメッセージを伝えたいんだ、という事に対する理解が速く、さらにその理解度も深かった。なので、一番初めに提案していただいたものに、僕たちが『やりたいですね!』ってすぐに乗れたのは、提案してもらったもののクオリティが高かったのはもちろんですが、僕たちの気持ちや考えをちゃんと理解してくれてたから、というのが大きいと思うんですよね。それに牧野さんって、ほんとピュアな人じゃないですか(笑)僕、いっつも思うんですよね(笑)だけど、ああいう真っ直ぐな姿勢の人だから、お願いしたいって思ったし、今後も継続してお願いしたいと思っている。

『やっぱやるからにはバズんないと意味ないっすよね〜』みたいな話になっちゃうと、それはそれで嬉しいのですが、Oisixという名前が広く伝わるだけで、理解度がそれに追いついてこない。僕たちにとっては、多くの人に名前を知ってもらうことよりも、『価値を伝える』という事の方がすごく重要なんです。だから、エードットさんのキャッチアップ力とクリエイティブ力、あとは牧野さんのピュアさが際立っているから、僕は今後も御社と一緒にお仕事をしたいと思ってますし、今回一緒に行った企画も、多くの人たちに共感してもらう事が出来たんじゃないかな、と思うんです。はい。これはね、大事なことなので絶対言わないと(笑)」

風間「わあ…とても嬉しいです!是非今後とも、Oisixさんや井上さんの夢を、応援させてください!」